2 平成26年度
2.34 2014.9.24 10:30~15:10 CST実地研修(生物・野外実習)【宝蔵寺沼ムジナモ自生地とさいたま水族館の見学】

CST実地研修(生物・野外実習)【宝蔵寺沼ムジナモ自生地とさいたま水族館の見学】

実施報告

 

日時:平成26924日(水)10:3015:10

場所:羽生市宝蔵寺沼とさいたま水族館

講師:金子康子、日比野拓(埼玉大学教育学部)

受講者:5名(大学院生1名)

領域:II CST観察実験

 

概要:

①宝蔵寺沼とムジナモについて

 ムジナモは、モウセンゴケ科に属する食虫植物で、日本国内のみならず世界的にみても大変珍しい植物です。昭和41年に日本国内唯一の自生地となった埼玉県羽生市の宝蔵寺沼は、「宝蔵寺沼ムジナモ自生地」として国の天然記念物に指定されました。昨年度まで、文化庁、羽生市教育委員会、埼玉大学、ムジナモ保存会が協力して「宝蔵寺沼ムジナモ自生地天然記念物緊急調査」を行ってきました。国の天然記念物として立ち入りが禁じられている宝蔵寺沼に、今回特別に許可を得て入ることができました。緊急調査のオーガナイザーを務めた金子がガイドとなり、現在の宝蔵寺沼の様子やムジナモの生育状況を観察することを目的としました。

 

②さいたま水族館の見学について

<![endif]>水族館は、展示スペースよりもバックヤードの方が広く、そこでは展示前の水生生物の維持管理だけでなく、貴重な水生生物の繁殖なども行っています。今回、さいたま水族館の飼育課課長の矢辺さんにガイドをしていただき、バックヤードの見学のみならず、普段飼育員たちはどんな仕事をしているのかを教えていただきました。

 

<![endif]>内容:

宝蔵寺沼は天然記念物に指定されているため、自生地の見学は、羽生市教育委員会ムジナモ担当の高鳥さんの立会いの下で行いました。宝蔵寺沼は場所によっては底なし沼になっています。長靴に履き替え、支柱を杖に使って、なるべく一列になって用心しながら移動をしました。ムジナモが自然繁茂している場所を複数個所見つけることができ、ムジナモが様々な生物と関わりながら生育している状況を観察しました。また、ムジナモ数株を手にのせて、タヌキモと比較をしながら、ムジナモの形態的な特徴を観察しました。宝蔵寺沼の一角には、以前ムジナモを人工的に繁殖させるために使用していた隔離区画が存在します。その場所を見学しながら、自然回復によってムジナモを宝蔵寺沼全域に繁茂させることが、いかに重要かを学びました。

<![endif]> 昼食を宝蔵寺沼に隣接した三田ヶ谷農村センターで食べた後、ムジナモ保全の現在までの活動について、金子からパワーポイントを用いて解説を受けました。その後、さいたま水族館まで徒歩で移動し、今度はさいたま水族館のバックヤードの見学を行いました。バックヤードでは、飼育課のスタッフが来週から始まる特別展示に向けて、いそがしく働いておりました。ここでは、飼育課課長の矢辺さんに解説を受けながら、埼玉県の魚に指定されている「ムサシトミヨ」の人工繁殖の様子を観察しました。また、タガメやガムシなどの水生昆虫の繁殖と飼育が、想像以上に手がかかることを知りました。大きな生物に目が行きがちな展示も、スタッフの飼育の努力を考慮に入れると、また違った視点で水族館を散策できることが分かりました。矢辺さんはバックヤードだけでなく、展示スペースの解説も行ってくださり、充実した水族館めぐりとなりました。

今回宝蔵寺沼を巡って観察した「ムジナモをどのように小中学校の教育で活用することができるか?」がレポートの課題となりました。提出されたレポートの中には、「中学校3学年の単元「自然と人間」生態系における生物の役割の具体例として、宝蔵寺沼をあげる教材は面白いと思われる。ムジナモの希少価値や生態の不思議といった部分を伝えることで、魅力が伝わるのではないか。」といったアイデアを書かれた受講生もいました。

 

(文責:日比野)

目次 をスキップする

目次

設定 をスキップする

設定

  • ブック管理