2 平成26年度
2.7 2014.6.24 9:00~12:10「科学的概念の形成を促す理科の授業づくり」

講座「科学的概念の形成を促す理科の授業づくり」実施報告

日時:平成26624日(火)9:0012:10            

場所:埼玉大学教育学部A棟213

講師:清水 誠(埼玉大学教育学部教授)

受講者:9名(教員5名,大学院生4名)

領域:Ⅲ 小中学校実践理科指導法・マネジメント実習)

概要:学習内容の改善・充実と言語力の育成・活用の重視を改訂の柱とする理科の学習指導要領による教育が各学校では実施されている。本講座では、学習指導要領が求める科学的概念の形成を促す理科の授業づくりについて、学習科学等の知見を踏まえた最新の教授・学習論から検討した。

内容:

1.見えにくい現象を可視化することを通しての概念形成

現象を可視化することが学習者の概念形成に与える影響と外的資源のもつ顕在性や操作可能性が問題解決に有効に働くことを内容とし、「音の学習」、「葉の付き方の学習」、「台風の動きの学習」を事例に講義・実習を行った。音の学習では、体験を通して音を児童・生徒に実感させる教材として、糸電話、音のでるコップづくり、ダンシングスネークづくりを行った。葉の付き方の実習では、模型の葉に番号をつけることが葉の配列に気付かせる学習方法として有効であることを示した。台風の動きの実習では、日本列島が書かれたクリアシートを気象衛星画像に重ね、台風の目と考えられるところに赤マジックで丸い印をつけたものを気象衛星画像ごとに作成し、このクリアシートを重ねることで台風の動きや速さが可視化できることを実習した。

2.概念変容を目指した教授・学習モデルの検討

  学習者の概念形成を考慮した学習論の一つである構成主義学習論に触れながら、認知的葛藤場面を学習に導入した科学概念の形成を図るモデルとして,HashwehTsaiの概念変容モデルを学習した。

3.協調的な学習場面に外化を促すことが概念形成に与える効果

いくつかの授業事例をもとに、討論することが概念形成に有効であること。互いに自身の認知プロセスを外化し、相互のプロセスを比較吟味させることが概念形成を促すことを学んだ。協調的な学習が認知的効果をもたらす理由は、アイディアの明確化、葛藤、協同による説明構築であることを実習を通して学んだ。

受講生の感想には,「目に見えにくい事象はモデルを用いて、実体験が困難なものは身近な素材を用いた教材を利用することにより概念形成の手立てにつなげていく効果的な教材や授業展開を考えていきたい。」や「認知的葛藤を起こさせ自ら学びたいという主体的な学びへと導くことや学びの外化、現象を可視化することによる科学的概念の形成という手立てを今後の授業に活かしていく所存です。」と述べられていました。                                (文責:清水 誠)

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