3 平成25年度
3.32 2013 11.19 9:00~12:10 講座「科学的な思考力の育成を促す理科授業」
日時:平成25年11月19日(火)9:00~12:10
場所:埼玉大学教育学部A棟201室
講師:清水 誠(埼玉大学教育学部教授)
受講者:8名(教員7名,大学院生1名)
領域:Ⅲ 小中学校実践理科指導法・マネジメント実習
概要:本講座では,学習指導要領が求める思考力の育成に向けて学習科学等の知見を踏まえた最新の理科の指導方法について検討した。到達目標は,科学的な思考力の育成を促す理科授業を構想できるとしている。
内容:
1.思考力とはどのような能力か
思考力とは何かを整理した。心理学では思考を問題解決ととらえてきたこと。最近では,思考を情報処理過程と同義にとらえていることを学習した。次に,類推が思考の基盤であることやメタファーが言語・認識・行動に共通する思考手段であること,論理的に思考できるようになるためには問題解決の場を用意し問題解決の能力を育てること,思考のスキルの育成が重要であること,他者との討論を通しての自己内対話(=思考)が有効であること等を学習した。
2.プロセススキルを育成する
探究学習論を照会すると共に,形式操作の思考についても学んだ。そのうえで,中学校の教師が理科の学習で培う能力を育成する実践を照会した。
3.書く活動の充実
Goodyは,書くことなしには,論理的・分析的・理性的・ 科学的思考は不可能であると述べていることを紹介し,表現することで思考が洗練される/思考が深まることを学んだ。次に,100円問題や授業事例をもとにメモをすることの効果を実習した。
4.批判的思考力を育成する教授方略
「情報の明確化」,「情報の分析」,「推論」,「行動決定」と呼ばれている4つのスキルを役割として分散化し,学ぶことで最終的に批判的思考力を身に付けさせる指導事例を検討した。各役割を理解するだけでなく,ゴールを共有化し,相互協力・相互批判が伴う議論をすることが重要であることを学んだ。
受講生の感想には,「具体的にどのようなものが科学的な思考力で,それを育成するための手段にはどんな方法があり,それを取り入れることによってどの程度の効果があるのかというのは明確には答えられなかったというのが実情である。それが今回,講義にでることで,具体的な科学的な思考力の育成について理解することができた。」と述べられていました。 (文責:清水 誠)