3 平成25年度
3.39 2013.10.30 13:00~14:30講座「洗剤の機能と洗剤を使った代表的な実験」

日時:平成25年10月30日(水)13:00~14:30

場所:埼玉大学教育学部G棟109実験室

講師:松岡圭介(埼玉大学教育学部准教授)

受講者:11名(教員10名,学生1名)

領域:Ⅰ 最先端の自然科学に関する知識・理解              

 

概要:身近にある家庭用洗剤を使って,油の溶解,表面張力の低下,水に溶けにくいものを溶解させる機構を簡単な実験から確かめる。実験を中心に行い,その機構を解説した。また,後半では簡易放射線測定器「はかるくん」の活用法を紹介した。

 

内容:講座の前半は主に家庭用洗剤の種類,機能,特徴的な物理化学的挙動について,スライドを使用して説明した。説明後,小中学校の理科の実験教材として使用できそうな,安価な実験材料を使用して,実験方法を提示し,実際に実件を行った。その内容は下記のとおりである。

(1)  爪楊枝と油を使用した表面張力の観察:爪楊枝の一方の先端に食器洗浄用の液体洗剤を少量つけ,水が入ったパッド内に浮かべると,洗剤をつけたほうと反対側に爪楊枝が進むことを観察した。また,食用油を水面に数cm程度の円になるように滴下し,その後,洗剤を油の上に滴下すると,油がパッドの外側に急速に引っ張られるように拡散することを観察した。洗剤による表面張力の低下を簡単に観察することができることを示した。

(2)  料理用油を使用したエマルションの作成:水と料理用油を混合し,そこに食器洗浄用の液体洗剤を加えると,均一なエマルションが形成できることを実験で示した。一方,洗剤を添加しない場合は水と油は二層分離する。この現象は洗剤添加に伴う水/油の界面張力の低下を引き起こした結果であり,油汚れによる洗浄機構を目視で観察することができる。右にその比較の写真を示した。

(3)  滴数管を用いた表面張力の測定:簡易なガラス器具(滴数管)を利用して,表面張力の測定を行った。洗剤を入れると,ガラス管が出る液滴が小さく,その液滴カウント数も増加することを確認した。その結果から表面張力を算出した。

 

 講座の後半には放射線測定の実験キット(はかるくん)の実演と紹介を行った。受講者からの感想は,概ね小中学校でも実験として取り入れることができ,実演は参考になったとの回答があった。また,受講者からも,洗剤,セッケンを使用した実験方法を提示していただき,実りのある講座を開くことができた。  (文責:松岡圭介)