1 平成27年度
1.22 2015.8.3 10:40~12:10「理科の学びを育む-学習科学研究の成果を踏まえて-」
講座「理科の学びを育む-学習科学研究の成果を踏まえて-」実施報告
日時:平成27年8月3日(月)10:40~12:10
場所:埼玉大学教育学部A棟201室
講師:清水 誠(埼玉大学名誉教授)
受講者:教員7名
領域:Ⅲ 小中学校実践理科指導法・マネジメント実習
概要:創造、自立、協働が重視される中、アクティブラーニングが話題となっている。教授する授業から,児童・生徒が主体的に問題を思考し,学習者同士で協働したりしながら問題の解決を図る学習者主体の授業への転換である。本講座では、こうした学習者主体の授業への転換を図るため、「人はいかに学ぶか」について研究を進めてきた学習科学研究の成果を踏まえ、そこで分かってきた理科の学びを育むための教授・学習方法について紹介・検討する。
内容:
1.知識の獲得は、「なぜ」を追究する学習の中で育む
音の学習の導入から、教授する授業から,子どもが主体的に問
題を思考する学習を検討した。具体的には、ベートーベンは耳が
聞こえないのに作曲していたことから「なぜ」を促し、指揮棒を
くわえている写真から「問い」を生ませる授業方法を検討した。
2.「なぜ」を促す導入の工夫
主体的な学習とするには、自分の問題とする必要がある。その
一つの方略として、既有の知識とのずれを意識化することが必要
である。認知的な葛藤が生じるアレー、不思議だな、なぜだろう
といった疑問を学習課題とする授業方略を検討した。
3.協働を促す工夫
ほとんどの学びは、共同作業だと考えられる。そこでは、アイ
ディアの明確化、葛藤、協同による説明構築が生じる。しかし、
ただ話し合わせただけでは、効果は少ない。協働を促す工夫が必
要である。その一つに、内部で生じる認知過程を観察可能な形で
表す外化という方法がある。外化することで、頭の中に持つイメ
ージの見直しが可能になる。考えが見えることで、議論が活性化
することを「植物には種ができる」という実践をもとに検討した。
4.現象を可視化する
理論を形成するには、現象を可視化することが有効である。人
間の思考活動は,外の事物との相互作用として成立するものであ
り,頭という器の中で表象し,操作するだけのものではなく,外
の事物を必要に応じて利用しながら行われる。台風の動きや光の
進む道筋を可視化することで、児童が規則性を発見していく指導事例を検討した。
(文責:清水 誠)