1 平成27年度
1.7 2015.6.27 13:00~17:00「科学技術館見学」

講座「第2回CST研究会」実施報告

 

日時:平成27年6月27日(土) 13:00~17:00

場所:    埼玉大学教育学部

受講者:23名(教員等20名,学生3名)

講師:    中島 雅子,小倉 康(埼玉大学教育学部准教授)

領域:    Ⅲ 小中学校実践理科指導法・マネジメント実習

 

概要:土曜日午後に「小中学生に,よく分かる,大好きな理科を届けるために」をキャッチフレーズとして,県内外で理科を教えている教員が自由に参加できる研究会を開催している。

日程:

13:00-13:50  1時間目 大学からの情報提供

 テーマ「一枚ポートフォリオ評価法について」

提供者 中島 雅子准教授

14:00-14:50  2時間目 現場からの情報提供

 テーマ「評価の指導の改善に向けて」

提供者 小学校,中学校CST受講生

15:00-16:50  3~4時間目  ワークショップ

 テーマ「科学写真の撮影法 第2回 科学写真撮影の実際」提供者 伊知地国夫(科学写真家,元埼玉大学非常勤講師)

 

内容(1~2時間目):「一枚ポートフォリオ評価法(OPPA:One Page Portfolio Assessment)」を活用した授業改善について

1.OPPAの骨子

自己評価法であるOPPAの骨子を説明し,実際に小・中・高等学校の現場で活用している教師の声を紹介した。

2.OPPAの効果と実際

PISA調査に見られる日本の生徒の課題をふまえ,授業にOPPAを活用することにより効果について,実践例にもとづき紹介した。具体的には,たとえばOPPAは言語活動の1つであること。これにより,メタ認知の育成に有効であることなどである。実際の記述例やOPPAによる授業改善の例も紹介した。

受講者の感想:「一枚ポートフォリオ評価法では,記入するのは児童である。しかし,児童は『自分がどれだけ変容したか』を自分で気づくために記入をしている。教師が見取るためではなく,『児童が自分で自分を見取る』ために書いている。教師が,一枚ポートフォリオを見て『できているか。そうでないか』を評価するのではない,ということを教えていただいた。これは,私にとって本当に新しいものの見方になった」というような「自己評価」に関する考え方について多く述べられていた。

(文責:中島 雅子)

 

内容(3~4時間目):「科学写真の撮影法」

科学写真を数多く発表,出版されている科学写真家・伊知地国夫先生から,直接その撮影法について教えていただけるワークショップを開催した。

第1回(5月30日)は様々な科学写真の撮影機材(カメラ,レンズ,照明など)について実際の機器で説明し,第2回は科学写真撮影の実際について,いくつかテーマを決めて(マクロ写真,瞬間写真,顕微鏡写真),撮影しながら方法を説明いただいた。写真と受講者の感想で様子を紹介する。

-自分でも一眼レフを持っていながら,難しいものだと使用することを避けてきました。今回プロの先生に教えていただく貴重な機会を設けていただき,自分も撮りたいと強く思いました。まずは,撮影モードやISO感度,露出補正などから覚え,マニュアルモードで撮影できるようになりたいです。ミルククラウンや煙の写真を見て自分自身が「すごい!」と感動したように,児童にも自分の撮った写真で「わー!」「すごい!」「よくわかる!」と思ってもらいたいです。

-今回の講義で撮らせていただいた写真の数々は,早速授業や若手の理科教師との話題として利用することができた。特に,1学年を初めて担当する若手職員は,有益な情報だと述べていた。私の担当している2学年では,まだ科学写真の応用をする場面がなく紹介程度で終わってしまったが,休み時間には撮り方などを聞きに来る生徒もいた。身近にあるもので少し変わった世界を映すもの(写すもの)は,生徒の反応も違いがみられた。

 今回学ぶことができた技術や手法を今後の理科の授業で活かせるべく練習を重ねていきたい。また,最近は物を見る視点の中に,なにか面白い科学写真が撮れないかなと考えることが多くなった。

-カメラも大事だが「ストロボ」の大切さをとても感じた。「ミルククラウン」を撮影するとき,肉眼でミルククラウンを見ることができたのは衝撃的だった。いつもは見えていないだけで,実は身の回りですごいことが起きているということ,そのことに「気づいていない(見えていない)」ということの事実に感動した。           

                                                                       

   (文責・小倉 康)